2025/07/11 15:00
■ 1920年代ファッション ― 2025年春夏トレンド: フラッパーガール ―
2025年春夏のコレクションで、再び1920年代のフラッパーガールスタイルが脚光を浴びています。
フリンジやビーズ、スパンコールといった煌びやかな装飾が特徴のこのスタイルが、現代のトレンドとして生まれ変わりました。
さらに、今年はアール・デコ誕生100周年の記念すべき年でもあり、この時代のスタイルが多くのデザイナーにイン
スピレーションを与えています。
マテリアル: スパンコール
ディテール: フリンジ
● フラッパーガール=1920年代に登場した「自由で新しい女性」を指します。
彼女たちは膝丈の短いスカートやショートヘアのボブカットなど大胆なスタイルを好み、ジャズ音楽を楽しみながら
社交的なライフスタイルを送りました。
濃いメイクやお酒を飲むこと、喫煙やドライブを楽しむなど、それまでの女性の規範とは一線を画す行動が特徴で
す。保守的だった伝統的な女性像を変える存在として注目されました。恋愛や社会的価値観への反抗的な側面を
持つ女性像として描かれることもありました。
彼女たちの自由で大胆な振る舞いは、社会に新しい風を吹き込んだと言えます。
映画『華麗なるギャツビー』の舞台となる「狂騒の1920年代」。
第一次世界大戦の終結後から1929年の世界大恐慌まで、1920年代は「ジャズ・エイジ」とも呼ばれる華やかな
時代でした。
この時代、アメリカの経済躍進が牽引し、自動車やラジオなど現代技術が急速に普及しました。
また、ジャズやアール・デコのデザインが隆盛を迎え、文化や芸術が一層の発展を遂げた時期でもあります。
ヘアスタイルはボブやウエーブヘア
■ 女性ファッションの大転換
1914年に始まった第一次世界大戦は、女性たちのファッションと働き方を大きく変えました。
男性が戦場へ行ったことで、女性たちはバスの運転手や工場員など、新しい役割に挑むようになりました。
当時のファッションは、タイトなシルエットと高めのウエストライン、そして足首まで届くマキシ丈スカートが特徴的
でした。これらのデザインは動きやすさには欠けることが多く、装飾が施された洋服も自由な動きを妨げる要因
となっていました。
20世紀初頭には、ポール・ポワレというフランスのデザイナーが登場し、女性たちをコルセットの束縛から解放す
る画期的な洋服を生み出しました。彼が手がけた直線的なシルエットのドレスは、動きやすさとエレガンスを絶妙
に融合させたもので、多くの女性たちに新たな自由を感じさせたものでした。
特にローウエストのデザインは、社会進出が進む時代背景にぴったりで、ファッションを通じた解放の象徴となり
ました。
コルセットの束縛から解放されたスタイルは、バストやウエストをあえて強調せず、直線的で柔らかなシルエット
■ 時代背景
第一次世界大戦の戦勝国となったアメリカは、1929年の世界恐慌まで空前の繁栄を謳歌しました。
この時代、人々の消費は拡大し、それに応えるようにアール・デコ様式が流行しました。
装飾美術としてのアール・デコは、1925年のパリ万博を契機に国際的に注目を集め、特に第一次世界大戦後の
アメリカで大きな発展を遂げました。
アール・デコ様式はこうした変化を反映し、直線的なデザインや大胆な装飾が際立つものとなり、特にアメリカの
都市文化の中でその影響を強く感じられるようになりました。
■ ファッションに影響を与えたアール・デコとは?
アール・デコ様式の概要
アール・デコは、1925年にパリの「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」(通称アール・デコ博覧会)がきっかけで
広まった装飾美術のスタイルで、幾何学的なデザインや直線的な構造が特徴です。
このスタイルは、1910年代から1930年代にかけてヨーロッパを中心に工芸、建築、ファッション、日用品にまで
波及しました。
デザインの特徴
・鋭角的な形状や幾何学模様(直線、ジグザグ、V字型など)。
・シンメトリー(左右対称)が重視される。
・素材としてクロム、象牙、ガラスなどを使用し、高級感を表現。
・エジプト文明やマヤ文明など異文化の影響を反映。
具体的な影響と応用
・建築:エンパイアステートビルやクライスラービルなどの高層建築が代表例。
・工芸品・日用品:家具や照明器具にはラッカー塗装や象嵌が施され、モダンで洗練された印象を与える。
・ファッション:幾何学模様や大胆な色使いが取り入れられ、フラッパースタイルとも調和。
アール・ヌーヴォーの自然主義的な曲線美とは対照的に、アール・デコは合理性と都会的な雰囲気を追求した
デザインが特徴。
日常生活の中で「芸術を取り入れる」という理想のもと、広く影響を与えました。
幾何学模様
インテリア
クライスラー ビル エンパイア ステート ビル
■ 1920年代のジャズ・エイジと華やかな世界
1920年代、ジャズ音楽が社会に新たな風を吹き込み、「ジャズ・エイジ」と呼ばれる時代が幕を開けました。
クラブやダンスホールが人気のスポットとなり、若者たちはジャズのリズムに身を委ね、夜遅くまで踊り明かす日々
を楽しんでいました。
この頃流行したフラッパーファッションは、そんな夜の社交に完璧にフィットするスタイル。
華やかでありながら動きやすさも兼ね備え、スパンコールやフリンジで彩られた服装が、ダンスフロアでひときわ
目を引く存在でした。
また、「ジャズエイジ」という名前は、作家F・スコット・フィッツジェラルドの『ジャズ・エイジの物語』が由来です。
この時代の自由で華やかな雰囲気を象徴しています。
ジャズエイジは音楽、ファッション、都市文化が融合した魅力的な時代でした。
この時代の熱気と創造力は、今もなお多くの人々にインスピレーションを与え続けています。