2025/07/18 15:00

2025年春夏のファッショントレンドで70年代のムードを象徴する「ボヘミアンスタイル」や「ボーホー・シック」が登場。

代表的なフリンジや刺繍などのディテールやノスタルジックな花柄、繊細なシフォンやレース素材でリッチなボヘミアンスタイルに。

また70年代のフォークロアから都会的な洗練されたボヘミアンスタイルに生まれ変わっています。

このブログでは、1970年代の時代背景とファッションの象徴「ボヘミアンスタイル」の魅力を深堀りします。


 「ボヘミアン」とは?

その起源は旧チェコスロバキア西部地方のボヘミアに住む人々にありますが、ファッション業界では異なるイメージで解釈されることが多いです。放浪者や芸術家のように、無国籍で自由奔放な生活スタイルを象徴する言葉として用いられています。



■ ボヘミアンスタイル

ボヘミア地方の民族衣装に見られるようなスタイルやジプシー・ルックのようなフォークロア調のファッションを指します。

芸術家やアーティストの生活主義と個性を表現するファッションスタイルがボヘミアンといいます。

ボヘミアンは濃厚な民族要素があり、個性鮮明で自由でリラックスした雰囲気があふれるフォークロアファッションです。フリンジやタッセル(房飾り)は民族的な印象があり、ボヘミアンスタイルの代表的で重要な要素です。




■ ボーホースタイル

このスタイルは「ボヘミアン」とニューヨークの「ソーホー」をかけ合わせた造語。

民族調のプリミティブな要素に都会的で洗練された雰囲気を融合させたものです。

特徴としては、自由でリラックスしたムードが挙げられます。このスタイルは、ノスタルジックな要素を取り入れつつ、現代的な感覚も取り込むことで注目されています。



 1970年代時代背景

1960年代初頭のアメリカは「黄金時代」と呼ばれる好景気を謳歌しました。 ケネディ政権の積極財政と中流階級の増加が背景となり、多くの家庭が豊かさを実現しました。


しかし、1970年代になると状況が一変。

 ・ベトナム戦争の長期化や反戦運動が激化。

 ・公民権運動をはじめとする社会変革の高まり。

 ・中東戦争を発端にしたオイルショック。

 ・ニクソンショックによるドルと金の兌換停止などで経済混乱。


これらの出来事が引き金となり、スタグフレーション(景気が停滞しているにもかかわらず物価が上昇するという、経済にとって深刻な状況を指す)や政治不信が拡大し、社会全体が不安定な時代となったのです。



■ 1970年代ファッション

1970年代は、ファッションにおいて自由と創造性が花開いた特別な時代と言えます。音楽、文化、社会的変革が相互に影響し合いながら、ヒッピー、ディスコ、パンクといった多様なスタイルが誕生しました。


特に「フラワーパワー」を象徴する花柄のデザインは、人々の平和への願いをファッションで表現した象徴的なトレンドとして今なお語り継がれています。

さらに、この時代は若者たちが抗議活動や新しい価値観を探求し、それが洋服にも反映された時代でもありました。若者が新しい価値観に目覚め、女性たちはファッションを通じて自身の個性と自由を表現しました。

大胆なデザインとカラフルな色使いは、自己表現の一つとして受け入れられ、現代のスタイルにも影響を与え続けています。


1970年代の文化的背景やデザインの象徴を知ることで、ファッションが持つ深い魅力を味わえます。また、70年代を見つめ直すことで、現代のスタイルに隠された意味をより鮮明に感じ取ることができます。



■ カラフルで多様なスタイル

この時代のファッションは、当時の社会情勢や文化的背景から生まれたものです。

多くの人々は『LOVEPEACE』というスローガンに象徴されるような自由で解放的な表現への憧れを抱き、その想いをファッションに反映させていました。


70年代ファッションを象徴する要素の一つは、その鮮やかな色彩です。自由で個性的な精神を映し出していました。

赤やオレンジ、緑、青といった色彩は、当時の若者たちの情熱や希望、社会へのメッセージを表現しています。

花柄やストライプ、ドット柄など、多種多様なプリントが洋服に施され、ファッションを通じて個性と理想が力強く表現されていました。


70年代ファッションの特筆すべき点の一つは、個人が自由にスタイルを選び、体型や好みに合わせた服装で自分らしさを表現できたことです。他者の目を気にすることなく、自己表現を楽しむ自由が重視されていました。

自由な表現の裏にはヒッピー文化の影響が色濃く見られます。

ナチュラルな素材やオーバーサイズの衣服が選ばれ、個性を尊重するスタイルが広がりました。ボヘミアンやエスニックなデザインもこの流れに加わり、ファッションの多様性をさらに深めたのが印象的です。

これらのスタイルは、既存の価値観やルールから解放されたいという願いの象徴でもありました。こうした自由で多様なスタイルが、自己表現を後押ししました。


1970年代のファッションは、まさに自由と創造性が溢れる時代。「LOVEPEACE」というスローガンが響き、カラフルな色合いや大胆なデザインが主流となり、多くの人々に強い印象を与えました。

特に鮮やかな色彩は、時代のエネルギーや希望を体現していたように感じます。


1970年代のファッションは単なる流行を超えたカルチャーそのものであり、現代のデザイナーやファッショニスタたちに深い影響を与え続けています。



■ フラワーパワー

1970年代は、女性ファッションにおいてピースデザインとフラワーパワーが花開いた時代でした。

このスタイルは、ヒッピー文化から強い影響を受け、平和と愛を表現するシンボルとなり、ファッションを通じて社会的メッセージを発信しました。


フラワーパワーは特に花柄デザインで鮮やかに表現されており、色彩豊かなドレスやブラウスが主流でした。

これらのアイテムは自然との調和を感じさせる一方で、柔らかさと優美さを引き立てました。

また、フリルやロングスリーブといったディテールは、当時の女性たちが自由と個性を楽しむスタイルを象徴していました。

ゆったりとしたシルエットやナチュラルな素材を好むこの時代の流れは、ファッションを自己表現の手段として捉え、現代のファッションにもその影響が脈々と息づいています。



■ 1970年代のフェミニンなワンピース×ベストの組み合わせ 

1970年代、フェミニンなワンピースとベストの組み合わせは非常に人気のあるスタイルでした。このファッションは、女性らしさを引き立てながら、自由で個性的な表現を可能にしました。


●ワンピースの魅力

柔らかな素材やフラワープリントを用いたデザインが多く、心地よい着心地とエレガントな雰囲気を兼ね備えていました。ウエストを引き締めるベルトやゆったりとしたシルエットは、様々なシーンで活躍する汎用性を持っています。


●ベストの役割

ベストはワンピースにレイヤードすることでスタイルに変化を与える重要なアイテムでした。シンプルなデザインから装飾的なものまで幅広く、デニムやリネン素材のベストは、カジュアルながら上品さを醸し出していました。

70年代のこの組み合わせは、日常使いから特別な場面まで幅広く活躍し、当時のファッションの象徴的なスタイルとなっていました。



   2000年代から進化したボーホーシックの魅力

60年代後半から70年代のヒッピームーブメントに着想を得たボーホースタイルは、2000年代半ばから2010年代にかけてセレブを中心に大ブームを巻き起こしました。

特にシエナ・ミラーやケイト・モス、ニコール・リッチーたちがその火付け役となり、民族的な柄やフリンジ、軽やかな素材を取り入れた自由で開放的なファッションがトレンドを席巻しました。

スエードブーツや、オーバーサイズのサングラス、レイヤードしたジュエリーなどのアイテムも大流行。


●ボーホーの進化と再燃 

トレンドとしては、以前よりも柔らかく洗練されたボーホースタイルが再注目されています。
2025年春夏ではは、スエードのフリンジや繊細なフリル、またレースやシフォンなどで流れるようなシルエットなど典型的な要素がモダンにアレンジされています。

●クロップジャケットとマキシスカートの定番化 

2000年代に流行したクロップジャケットやマキシスカートといったアイテムは、時代を超えて進化を遂げ、今では女性のワードローブに欠かせない定番となりました。

典型的なボーホーシックは時代の流れで影を潜めても、その中で生まれた個々のアイテムは根強い人気を保ち、今のスタイルにも影響を与え続けています。



    1970年代の代表的なアイテムやディテール


・ベルボトム

釣鐘(ベル)のように膝下から裾にかけて広がるシルエットのパンツ。1970年代を代表するシルエット。


ラップドレス

身体に巻き付けるように前身頃を深く打と合わせて着るドレス。1970年代初めにダイアン・フォン・ファステンバーグがラップドレスを発表し、大ブームを巻き起こす。

このドレスは女性の権利向上の象徴となり、社会に大きな影響を与えた。



・ベスト
フェミニンなワンピースとベストの組み合わせは人気があり、ベストはワンピースにレイヤードすることでスタイルに変化を与える重要なアイテムでした。ベストは、シンプルなデザインから装飾的なものまでさまざまなデザインが登場。


プラットフォーム &ウエッジソール シューズ

プラットフォームとは「駅のプラットフォーム、壇」の意味。プラットフォームのソールは、つま先~足の甲の部分と、かかと部分が別れているのが特徴。

プラットフォームシューズは、ブーツやサンダルなど様々な種類があります。

女性に人気だったプラットフォームヒールは、かかと部分だけでなく、つま先部分にも厚みがあることで、高さのある靴でも歩きやすいのが魅力。グラムロックシーンでは男性の足元にもよく見かけられた。


ウェッジは「くさび」の意味。くさびのようにつま先に向かって徐々に低くなり、底面がフラットなヒール。

ウェッジソールは全体が一体になったデザインで、ヒール部分とつま先部分が同じ高さのため安定感があって歩きやすいのが特徴です。コルクヒールは、70年代世代のすべての女性にとってマストアイテム。



・オーバーサイズサングラス

1960年代から1970年代にかけて、オーバーサイズサングラスはファッションの最前線に躍り出ました。映画スターや音楽アイコンたちがこぞって着用し、その姿は雑誌やスクリーンを通じて世界中に広まりました。

この時代のサングラスは、単なる紫外線対策ではなく、自己表現のツールとして機能しました。

大きなレンズが顔の輪郭を際立たせ、大人っぽい印象を与えると同時に、反体制的なヒッピーカルチャーやボヘミアンスタイルともリンクし自由と個性の象徴となりました。



・フリンジ

ヒッピーカルチャーにルーツを持つボヘミアンスタイルやボーホースタイルにおいて、フリンジは単なる装飾以上の意味をもつ重要なディテールです。洋服のディテール以外にもバッグやアクセサリーにも施されています。




■ 時代を超えて蘇る、70年代のスピリット

1970年代――自由と自己表現を讃える時代。ボヘミアンやボーホースタイルがファッションを席巻し、個性の美しさが全面に押し出された瞬間でした。 その精神は時代のフィルターを通して姿を変えながら進化し、2025年春夏のトレンドとして再び舞台に登場しています。

かつてはリネンやコットンで素朴に描かれていたスタイルも、今季は繊細なシフォンやレースへとシフト。また洗練されたミニマリズムの中にナチュラルな息吹を与えています。

70年代は、ファッションだけでなくカルチャーやムーブメントにおいても刺激的な時代でした。官能性、ロマンティシズム、力強さ、そしてノスタルジー。多様な感情と表現が交錯するデザインは、今なお私たちのクリエイティブに影響を与え続けています。