2025/07/25 16:02


雑誌のファッショントレンド記事を読むと、カタカナの専門用語が多く、何を意味しているのかわからないと感じることもあるかもしれません。 
実際、ファッション用語は時代やシーズンによって変化し、同じ意味でも異なる表現が使われることがあります。 
もちろん、「シルエット」などの一部の用語は固定されていますが、ファッションは繰り返されるトレンドの中で常に新しいエッセンスを加え、進化していくものです。そのため、新しい言葉や表現が次々と登場し、内容が少し難解になることもあります。

このブログでは、比較的馴染みのある単語や、覚えておくと便利な定番用語を厳選し、わかりやすく紹介していきます。


【A】

Acid Color (アシッド カラー)

アシッドは「酸、すっぱいさま」の意味。
オレンジやレモンなど、柑橘系の酸味を感じさせる青い果実の黄緑系の色をさす。



【B】

Bourgeois、Bourgeoisie(ブルジョワ、ブルジョワジー)

中世では、貴族の上流階級、中産階級のブルジョワ、下層階級の労働者・農民の位置づけだった。
現在ではブルジョワは「お金持ち、贅沢」という意味合いで使われています。
ファッションで「ブルジョワ」はクラシックで上品なスタイルを表現することが多い。



【C】

Cropped (クロップド) 例:クロップド丈、クロップド・ジャケット

クロップドは「切り取られた、切り落とされた」の意味。
クロップド・パンツは裾が少し短いパンツ。6分丈や7分丈でひざ下のパンツをさす。
クロップド・ジャケットは、ウエストあたりでカットしたような短いジャケットの総称。



【D】

Double Breasted(ダブルブレステッド、ダブルブレスト)

ジャケットなどの上衣の両前打合せのこと。重なる部分が深く、ボタンを2列に配したスタイル。



【E】

Effortless(エフォートレス)

エフォートレスとは、「努力を要しない」という意味。
ファッションでは「気負わず、リラックスしたスタイル」をさす。
がんばり過ぎない、「抜け感やこなれ感」がキーワードで手抜きに見えない着こなしをいう。



【F】

Flapper(フラッパー)

フラッパーとは「おてんば娘」の意味。
1920年代、それまでの伝統的な女性観を覆す、自由で開放された若い女性をさす。
フラッパー・ルックは、ボブカットのヘアスタイルに赤い口紅、ウエストのくびれがない丈の短いドレスなどのスタイルをいう。



【G】

Grunge Fashion(グランジ・ファッション) 

グランジとは、 「汚れた、薄汚い」という意味。
1993~94年に流行した薄汚い感じの重ね着や、古着のボロボロのファッション。
1980年代に、アメリカのシアトルから出てきたグランジ・ロックのバンド、ニルヴァーナの服装が源となり、広まった。
90年代に入り、デザイナーたちがコレクションにその要素を取り入れて注目された。
わざとシワや汚れをつけたり、ほつれや破れを入れたり、古着や着古した服を重ね着したスタイル。
ダメージジーンズやチェックのネルシャツ、Tシャツが代表的なアイテム。



【H】

Hound’s-Tooth Check(ハウンド トゥース チェック)

ハウンド トゥースは「犬の牙」の意味。
犬の牙のようにとがった形のチェック柄のこと。千鳥格子も同義語。



【I】

Innocent (イノセント)

イノセントは「無邪気な、無実の」の意味。
ファッションでは、よくこの言葉が使用されますが、ここでは「清潔感や無邪気な」をさす。
ホワイト~パステル系の淡色、透明感や繊細な素材など、全体的にクリーンさや儚さを加えたイメージで表現することが多い。



【J】

Jacquard(ジャカード)

ジャカードとは、紋織機とこの織機で織られた生地の総称。
ジャカード機を使用して織られた生地で、デザインそのものが織物に織り込まれています。たて糸の一本一本を操作して模様を織り出す。
刺繍で柄を表しているように見えるものなど、繊細で多彩な表現が可能な点が特徴です。


【K】

Knit on Knit(ニット オン ニット)

レイヤードスタイルの一種。セーターやカーディガン、ニットベストなどのニットアイテム重ねた着こなしのこと。



【L】

Lean Line(リーン・ライン)

リーンは「やせた」の意味で、ほっそりした直線的で長めのシルエット。
スティック・ライン、ストロー・ラインなどと同義語。


【M】

Mannish(マニッシュ)

マニッシュとは「男性的な、男性のような」の意味。
フランス語の「マスキュリン」と同義語。
男っぽいアイテムを着こなしに取り入れることで、女性らしさを表現しようとするスタイル。
単に男っぽい、メンズ服を着用するという意味ではない。



【N】

Neutral(ニュートラル)

ニュートラルとは「無彩色」のこと。無彩色とは、色相、彩度をもたず、明度の性質のみ持つ色。
ホワイト~グレー~ブラックまでの明るさの度合いを表す色。
有彩色(色味がある)以外の色をいい、ニュートラル・カラーと呼ばれる。



【O】

Old Money Style(オールド マネー スタイル)

「オールドマネー」スタイルは、上流階級の伝統的な雰囲気をまとったファッションの象徴です。
ロイヤルファミリーや由緒正しき令嬢たちのクラシックで控えめ、かつ快適なコーディネートが代表的。
このスタイルではトレンドに左右されず、主張しすぎないデザインが大切で、ロゴや派手な装飾は避け、上質な素材やシンプルなデザインでさりげなくエレガンスを表現します。
「クワイエット・ラグジュアリー」との共通点も多く、富を誇示しない控えめさが美しさの源になっています。



【P】

Preppy(プレッピー)

プレッピーとは「アメリカのアイビー・リーグへの進学校プレパラトリー・スクールの学生や卒業生の俗称」。
上質な服を無造作に着こなす彼らのファッションを、プレッピー・ルックと呼ぶ。
良家の子女風のカジュアルスタイルをさす。


Power Shoulder (パワー・ショルダー)

80年代に登場し大きな話題となったパワー・ショルダーは、女性のしなやかな強さを象徴。
25-26年秋冬にはその広がるショルダーラインが、テーラードジャケットやドレスといったアイテムに取り入れられています。秋冬シーズンは、その力強さに柔らかさを加えたスタイルがトレンド。
落ち感のある素材や曲線を活かして、軽やかでありながらエレガンスを感じさせる新しい解釈が注目されています。



【Q】

Quiet Luxury(クワイエット・ラグジュアリー)

「クワイエット・ラグジュアリー」は、「静かな」「控えめな」ラグジュアリーのこと。品格あるファッションスタイル。
一目でブランドを誇示するような派手なロゴや装飾を避け、見せびらかす必要がない控えめなデザインが特徴。
タイムレスでシンプルな美しさを重視し、以下の3つが軸となっています。
・タイムレスなデザイン - 時代に左右されない永続的な魅力。
・上質な素材とクラフツマンシップ - 丁寧な仕立てと品質の高さ。
・ベーシックなカラーパレット - モノトーンや落ち着いた色合い。
背景には、環境問題などサステナビリティも影響しています。
このスタイルは派手さを排除し、静けさの中に真のラグジュアリーを体現しています。



【R】

Ruffle(ラッフル)

ラッフルは本来「しわくちゃにする、波立たせる」の意味。
布ひもやレース、リボンの片側にギャザーやフレアーを入れて、波状にした「ひだの部分」をいう。
フリルよりも幅の広いものをさし、衿ぐりや袖口、スカートなどの裾などに使われる。
女性らしさや優雅さを感じさせ、デザインに洗練された装飾と華やかさをもたらします。しなやかな動きが際立つスタイルにフェミニンな魅力を加えます。



【S】

Sheer(シアー)

シアーとは「非常に薄い、透き通る」の意味。
細い糸で織られた、密度が込んでいて薄く透ける生地の総称。ガーゼのような太い糸で密度の粗い生地はシアーとは呼ばない。
一般的に、フィラメント糸(長繊維糸)の平織りのものをさす。
シアー素材は、その軽やかな透け感が魅力で、ファッションにニュアンスを加える素材。
ここ数年シアー素材が人気で、季節を問わず使える素材として、レイヤードスタイルに欠かせない存在に。



【T】

Transparent(トランスペアレント)

トランスペアレントは「透明な、透き通った」の意味でシースルーと同義語。
シフォン、オーガンジー、レースなどの透けて見える生地やそれらを使用した洋服について用いられ、「透け感」ともいう。



【U】

Utility(ユーティリティー)

ユーティリティーとは「実用性や利便性」を意味する。
ユーティリティーファッションは、実用性と美しさが共存するスタイルの代表格。
ワークウェアやミリタリーウェアもユーティリティーファッションの一つです。これらは着心地や動きやすさなどの機能性を活かしながら、デザイン面でも都会的で洗練されたスタイルが定着している。
最近では、スポーツミックスやアスレジャーのトレンドとも調和し、シンプルさと機能性が求められる現代のライフスタイルにぴったり。ユーティリティーファッションは、もはや「実用性」の枠を越えたファッションジャンルとして確立されています。


【V】

Victorian(ヴィクトリアン)

ヴィクトリアン・スタイルは、イギリスのヴィクトリア王朝時代(1837~1901年)に流行した表現様式。建築、家具、装飾、服飾の様式。
ファッションでは、バッスルスタイルやクリノリンのスカート。またジゴ・スリーブ、袖口にレースを飾った装飾的でロマンティックなスタイルが特徴。
レースやフリル、リボン、刺繍など壮麗な装飾で華やかさと女性らしさを表現したデザインは、25―26年秋冬のトレンドの一つになっている。


【W】

Western(ウエスタン) 例:ウエスタン・ディテール

ウェスタンファッションのルーツは、アメリカ西部のフロンティア時代にまで遡ります。
カウボーイや農夫たちの日常着として生まれたこのスタイルは、実用性と耐久性が特徴であり、同時にアメリカ文化の象徴的な要素として現代まで受け継がれています。
ウエスタン・ディテールとは「ウエスタンルック特有のデザイン要素」を指します。
逆山型のショルダーヨーク、ポケットに施されたフラップやフリンジ、そして金属製のドットボタンがその代表例です。



ファッションの世界では、新しい用語が絶え間なく登場しています。最近は特にSNSを通じて広まる言葉が注目されるようになりました。かつては主にファッションジャーナリストや専門家による記事が主流でしたが、現在はその役割が変化しつつあります。

今回は比較的定番とされるワードを選びましたが、来シーズンには新たな言葉が次々と加わり、トレンドの流れをさらに多彩なものにすることでしょう。